DTMや作曲を続けていると、「曲を最後まで完成させられない」という悩みにぶつかることがあります。
メロディは思いついた。コードもつけた。Bメロまでは作れた。でも、サビへの盛り上げ方がわからなくなって
止まってしまう。
作りかけのデモを何度も聴き返すうちに、「やっぱり微妙かもしれない」と感じて、また別の新曲を作り始めてしまう。
気づけば、パソコンの中には「サビだけ」「ワンコーラスだけ」「アレンジ途中」のデータが増えていく。
そんな状態が続くと、「自分には作曲の才能がないのでは」と思ってしまうかもしれません。
でも、曲が完成しない原因は、才能だけではありません。
多くの場合、完璧に仕上げようとしすぎて、最後まで進めなくなっています。
こういう方は本当に多いと思います。
この記事では、DTM初心者や独学で作曲をしている方へ向けて、完璧主義を少しゆるめ、曲を完成させて発表するための考え方を紹介します。
【曲が完成しない原因は、技術不足だけではない】

曲が最後まで完成しないとき、「もっと理論を勉強しなければ」「アレンジ力が足りない」「ミックスが下手だからだ」と考えがちです。
もちろん、技術は必要です。
サビへの展開、ドラム、ベース、音色選び、ミックス。
学ぶほど、曲の完成度は少しずつ上がっていきます。
ただ、技術不足だけが原因とは限りません。
「まだ100点じゃない」
「プロの曲と比べると物足りない」
「このメロディは本当に良いのか」
そう考えすぎて、完成前に止まってしまうことがあります。
特にアレンジやミックスの微調整は、終わりが見えにくい作業です。
キックを少し上げる。
ベースを少し下げる。
リバーブを浅くする。
昨日は良いと思った音が、今日は悪く聞こえる。
こうした調整を続けているうちに、何が正解なのかわからなくなってしまいます。
独学で一人で作っている場合、客観的な意見をもらう機会も少ないため、すべてを自分で判断しなければなりません。
その結果、「この曲は微妙だからボツにしよう」となり、また新しい未完成曲が増えていきます。
でも、その曲は本当に外に出せない曲なのでしょうか。
自分の評価だけで、発表前に終わらせてしまうのは少しもったいないことです。
【質より量は、雑に作るという意味ではない】

私のレッスンでも、「曲を最後まで作れない」という相談を受けることがあります。
なかには、2年ほど歌ものの曲を最後まで完成させられなかった方もいました。
サビまでは作れる。
アイデアもある。
でも、フルコーラスや発表まで進めない。
そういう方にお伝えしているのが、「まずは質より数を意識してみましょう」という考え方です。
これは、雑に作ればいいという意味ではありません。
1曲にこだわりすぎて、いつまでも完成させずに抱え込んでいると、「曲を最後まで作る練習」ができません。
曲を完成させるには、メロディやコードを作るだけでは足りません。
- 構成を作る。
- 歌詞をつくる
- 2番へ展開する。
- タイトルを決める。
- 動画や画像を用意して発表する。
作曲や編曲以外のところまで含めて、1曲を外に出す経験になります。途中でボツにしてしまうと、この流れを練習できません。
最初から完璧な1曲を目指すより、荒削りでも数曲を完成させた方が、次に必要な課題が見えやすくなります。
質は、完成させた数の中で少しずつ上がっていくものです。
【自信のない曲が、誰かに届くこともある】

少し話はあかわりますが、作曲をしていると、自分ではあまり自信のない曲が、思いがけず人に届くことがあります。
私も毎回のコンペで必ず自信をもって提出しているわけではありません。コンペを出す出さないは自由なので
自分の判断で「これはちょっと・・・」と思い、あえて出さないこともあります。ただし、あらかじめ「このコンペは出してね」と頼まれていたものだったり、そもそも締め切りがあるものだったりは、提出しないという選択肢はありません。
ですので、もちろんいつも最低限のクオリティは確保して提出しているのですが、なかには納得できないクオリティのまま提出せざるをえないこともあります。
あるとき、納得いっていないデモが、決まったことがあります。あれやこれやでタイアップまでついてしまいました。
私は正直、これでいいんだろうかと思い、不安になりましたが、制作をすすめると、なんだかんだ良いものに仕上がって、結果大変満足な仕上がりとなってリリースすることができました。別途アレンジャーや作詞家が関わることで全然別曲に
なることは良くあると思います。
この経験からわかるのは、「自分がどう評価しているか」と「聴き手がどう受け取るか」は別だということです。
自分では当初、納得いってるものではなかったけど、第三者は可能性を感じていて、ブラッシュアップを通して
結果納得いくものに仕上げることができた。最初に可能性を閉ざしていたのは結局自分自身だったんです。
自分は細かい粗が気になっている。
でも聴き手は、サビのメロディに惹かれている。
自分はアレンジの薄さを気にしている。
でも誰かは、歌詞や雰囲気に反応している。
もちろん、手を抜いてよいという話ではありません。
ただ、「自分が100点だと思えないから出さない」と決めてしまうと、誰かに届く可能性まで消してしまいます。
今の自分なりに区切りをつけて外に出す。
その反応を受けて、次の曲に活かす。
その方が、曲作りは前に進みやすくなります。
【完結させることが、次の曲につながる】

作曲の上達には、曲を完結させる経験が必要です。
完璧な1曲を目指して長い時間悩み続けるより、荒削りでも数曲を完成させる方が、学べることは多くなります。
1曲作りきると、次の課題が見えます。
- サビ前の盛り上げ方が弱かった。
- 2番で展開に困った。
- ボーカルがオケに埋もれた。
- ベースの動かし方が単調だった。
こうした課題は、完成させてみないと見えません。
作りかけのままでは、いつも同じ場所で止まってしまいます。
でも、最後まで行くと、「次はここを良くしたい」という具体的な目標が出てきます。
今の曲を完成させることは、今の曲だけのためではありません。
次の曲を少し良くするための経験にもなります。この視点で音楽制作に取り組んでいくことを強くおすすめします。
