今回は弾き語りや、楽曲のアレンジに使える初心者でもすぐに真似できそうなピアノの演奏パターンの作り方をご紹介します。
バッキング(伴奏)時のピアノの基本
ピアノというのは、右手と左手と両方の手を使って音を鳴らす楽器です。アレンジの一部であれば、右手だけで3和音や4和音で入れても成立はしますが、弾き語りではさすがにそれでは、ピアノ本来のポテンシャルは引き出せません。
弾き語りでは右手と左手を使い演奏しますし、アレンジとしてDAWなどに入力するときも、やはり右手左手を意識することで、より音楽的になります。
では実際右手でどのようなフレーズを弾き、左手でどのようなフレーズを弾けば良いのでしょう。
基本的には、右手でコードを弾き、左手でコードのルートを弾きます。
弾き語りの場合メロディは歌が担当しますので、その他のリズムとハーモニーの部分をピアノが担当します。これはアレンジでの伴奏でも同様です。
まずは、コード部分を右手、その下の位置にルートというのを基本の形として覚えましょう。
コードが「C」の時は、右手でCのコードの構成音である「ドミソ」の音。左手はコードのルート音である「ド」の音を入れます。左手がルートを弾いていれば、右手は「ドミソ」でも「ミソド」でも「ソドミ」でも構いません。このようにコードの構成音を入れ替えることを、転回形と呼びます
かっこいいバッキングの作り方
バッキングの作り方ですが、前述した右手のコードと左手のルートを軸にしてメロディにあわせて、またはドラムやベースにあわせてリズミカルに弾いていくのが基本となります。ここではいくつかのポイントを私が作成したバッキングをもとにお伝えします。
ただし前提としてコードについて知らないとコードは弾けません。まずはダイアトニックコードの3和音、つづいて4和音までは理解しておきましょう。
3和音でコードをつける
まずは3和音(トライアドともいいます)でコードを伸ばしっぱなしで入れてみました。前述しましたが「右手はコード構成音」「左手はルート音」が基本です。この左手のルート音はベースの役割もはたします。コードは「F→C→G→Am」といれています。
4和音にして音の響きを加える
次にコードを4和音(セブンスコード)にしてみます。今回は「Fmaj7→C→G→Am7」にしてみました。さらに右手は「コード」左手は「ルート音+完全5度の音」をいれています。
どうでしょう。少し響きが豊かに聞こえているのではないでしょうか。この左手の「ルート+完全5度の音」ですが5度の音というのはルートからみて7半音上の音です。鍵盤上でルートの音から数えて7半音上の音が5度の音になります。この5度の音というのは、どこをルートとしても導きだせるようにしておきましょう。ピアノだけでなく後々いろいろなところで使える音です。
右手のコードを動かす
まずは右手から動かしていきます。白玉の伸ばしっぱなしの音から、動きをつけます。DAWソフトのハサミツールなどを使って白玉の長い音符を好きな位置にカットして、動きをつけます。ここでのポイントは、メロディや、ドラムの音など他の音を聞きながら、それに合わせて馴染むような動きをつけることです。最初のうちは、やたらめったに動かすというのは、やめたほうが無難でしょう。
今回はドラムを打ち込んでいたのでそれに合わせて右手部分をカットして動きをつけました。
左手を動かして、よりリズムを強調する
右手の動きと連動するように、今度は左手部分を動かします。ポイントは、動きをつけた右手の音の前や、後に左手の音を鳴らすようにすれば、かなりかっこよくなります。左手をベースラインのようにとらえて動かしていくのがコツです。アルペジオのように、動かすのも効果的です。動かす際は、ルートが基本でときに5度の音を混ぜるような感じで最初は作っていきましょう。
ブラッシュアップする
右手と左手の動きがある程度固まったら、ブラッシュアップして調整します。
コードの積み方を、例えば4和音から、3和音に減らしたり、逆に増やしたり。転回形をつかい、コードの雰囲気を変えたりして変化を加えていきます。途中でアルペジオを弾いたりフレーズをいれるのも良いでしょう。
いかがだったでしょうか。
まとめると、コードを最初に決めたら、リズムを(右手左手を使い)つけて、調整というのが基本的な流れになります。またピアノでバッキングをするときは、音を抜いたり、足したり、フレーズを織り交ぜたりと単調にならないようにするのが、それっぽく聞かせるコツです。
EZ Keys2を使ってみよう。
さて自分で、少しバッキングをつくれるようになったらプロが作ってくれたバッキングパターンも研究しましょう。
Toontrack社からリリースされている、EZ keys2は、ピアノの音としてもなかなか良いのですが、何より、自動演奏パターンとして、またはアイデアだしとして大変優秀なソフトです。
音楽には多くのジャンルが存在し、そのジャンルらしさの演奏というものが存在します。そしてそれらを弾きこなすには、練習をつんだプレイヤーでないとなかなか難しいことです。
EZ keysはあらゆるジャンルの演奏パターンを網羅していますし、クオリティも申し分ありません。
各パターンにはコードネームも記載されているので、各ジャンルに使用される王道のコード進行なども知ることができ、勉強のツールとしてもおすすめです。
ちなみに、コードに関してもEZ keys2は例えばコード進行の代案も提案してくれる、作曲補助機能もついています。
注意点としてですが、確かに一見すると初心者にとって、とてもありがたい機能が目白押しな気がすると思いますが、実際はある程度コードの知識や、演奏技術のある人が使いこなせるピアノ音源だと感じます。おそらく全くの初心者だと、このEZ keys2のポテンシャルをほとんど使えないと思います。それでも、コードやバッキングの勉強としては十分使えるソフトですので、検討する価値は十分にあるでしょう。
EZKeys2のパターン紹介
最後にいくつかのジャンルのピアノバッキングをEZKeysに演奏してもらいました。いくつかピアノのパターンを選んで、そこにドラムとベースをつけました。
時間にして、わずか5~6分でしょうか。ちなみにかかった時間はほとんどが選ぶ時間です。普通に打ち込んだら、それなりに時間はかかると思いますので本当にすごいソフトだと思います。
①POP
②JAZZ
③Funk