前回、メロディーの改善ということでメロディー編をやりましたが今回はコードに関してのTipsをお伝えします。

新しいジャンルに挑戦しているつもりなのに、気づけば慣れたコード進行に戻っている。
現代的なエレクトロポップや複雑なJ-POPを作りたいのに、どこか90年代後半から2000年代のギターロックやポップスのような空気が出てしまう。
「また同じ感じになった」と落ち込んでしまうんですと、お悩みの生徒さんにお伝えした内容です。

まず最初に伝えたいのは、その「平成っぽさ」は、必ずしも消すべきものではありません。

  • 自分が中高生の頃に聴いてきた音楽。
  • 何度も聴き返した曲。
  • 無意識に口ずさんできたメロディやコード感。

そうしたものは、作曲するときに自然と出てきます。
それは弱点というより、あなたの耳と感覚に染み込んだ音楽のクセでもあり個性です。

ただし、「その雰囲気しか作れない」のと、「現代的な作り方も理解したうえで、あえてその雰囲気を選ぶ」のでは大きく違います。また商業作家なら、いろんな引き出しのメロディだったりアレンジだったりはマストなスキルです。

この記事では、感覚頼みの作曲から少し抜け出し、自分の手癖を武器に変えるための考え方、手法をコードにフォーカスしてご紹介します。

【いつも同じコード進行になる理由】

作曲を続けていると、自分の得意な進行や、つい選んでしまう響きが出てきます。

それ自体は悪いことではありません。むしろ、その人らしさにつながる大切な要素です。

ただ、いつも同じ雰囲気にしかならないと感じる場合、原因のひとつは「感覚だけでコードを選んでいること」にあります。

たとえば、

  • 鍵盤を探りながら弾いていたら、たまたま良いコード進行が見つかった。
  • ギターで弾き語りをしていたら、なんとなく気持ちいい流れになった。
  • DAWにコードを置いているうちに、それっぽくまとまった。

こうした作り方をしてる人は実際多いのかなぁと思います。

ただし、一方で「なぜその響きが良いのか」を説明できないままだと、次の曲で応用しにくくなります。

  • 同じような切なさを別のキーで出したい。
  • 現代的な雰囲気を少し混ぜたい。
  • リファレンス曲のようなコード感を自分の曲に取り入れたい。

そう思っても、コードの役割や出どころが見えていないと、また手癖に戻ってしまいます。

感覚は大切です。
ただ、その感覚を再現したり、広げたりするには、コードを言葉にする視点が必要になります。

【アプローチ1:コードを分析する】

感覚頼みの作曲から少し抜け出すために最も簡単な考え方が、ディグリーです。

ディグリーとは、コード進行を「C」や「F」などの具体的なコード名だけで見るのではなく、キーに対する役割や順番として見る方法です。

たとえば、キーがCメジャーの場合、基本となるダイアトニックコードは次のように考えられます。

CはⅠ。
DmはⅡm。
EmはⅢm。
FはⅣ。
GはⅤ。
AmはⅥm。
Bm♭5はⅦm♭5。

このように、コードをローマ数字で見ていきます。

さらに

  • Ⅰ、Ⅵmはトニック(安定)
  • Ⅳ、Ⅱmはサブドミナント(やや不安定)
  • Ⅴ、Ⅲm、Ⅶm♭5はドミナント(不安定)

※Ⅲmはトニックの要素もあり

のようにそれぞれの役割に分類されます。

なぜわざわざ数字で見るのかというと、キーが変わってもコードの役割を共通して考えられるからです。

たとえば、C、G、Am、Fというコード進行があるとします。
キーがCメジャーなら、これはⅠ、Ⅴ、Ⅵm、Ⅳとして見ることができます。

別の曲で、D、A、Bm、Gという進行が出てきた場合、キーがDメジャーなら、これもⅠ、Ⅴ、Ⅵm、Ⅳです。

コード名は違っても、流れとしては同じ役割を持っています。

このようにディグリーで見ると、「この曲はなぜ似た雰囲気に聞こえるのか」「この進行はどのキーでも使えるのか」が見えやすくなります。

好きな曲を分析するときも、コード名だけを覚えるより、ディグリーに置き換えた方が自分の曲へ応用しやすくなります。

そして、そのコード進行をディグリーに置き換えて

  • この曲はⅠから始まっているのか。
  • Ⅳから始まって広がりを作っているのか。
  • サビ前でⅤを使って緊張感を作っているのか。
  • Ⅵmを中心にして切なさを出しているのか。

こうした見方をすると、曲の雰囲気を作っている要素が少しずつ見えてきます。

「なんとなくおしゃれ」ではなく、「この部分で基本のキーから少し外れたコードが入っている」「ここで次のコードへ向かう力が強くなっている」と言葉にできるようになります。

その言語化が、自分の新しい曲作りに活かすための第一歩です。

【アプローチ2:テンションをつける】

それこそ平成の曲と違って、現代の曲はJPOPでもバリバリにテンションが入ってる曲は多いです。

テンションと聞くとJAZZのイメージがあり、難しいというイメージはあると思います。

確かに、テンションコードは、ボイシングを考えるときも、3和音や4和音のコードよりバリエーションも多く

複雑ですのでとっつきにくい印象もありますが、よりスタイリッシュだったり、ゴージャスに楽曲を色づけできるので

習得すべき項目だと思います。

まずは万能な9th、それと、ドミナントⅤ7で使えるテンションあたりから使っていきましょう。

【アプローチ3:ノンダイアトニックコードの出どころを見る】

またリファレンス曲を分析していると、基本のダイアトニックコードだけでは説明しにくい響きが出てくることがあります。

いわゆるノンダイアトニックコードです。

ノンダイアトニックコードとは、そのキーの基本的なコード群から外れたコードのことです。
J-POPやアニメソング、ゲーム音楽などでは、意外性、展開感を作るためによく使われます。

代表的なものとして、セカンダリードミナントがあります。

これは、向かいたいコードに対して、その直前に強く進みたくなる強進行を構築する考え方です。
たとえば、キーCでAmへ向かいたいとき、直前にE7を置くと、Amへ進む力が強く感じられます。
ここででてくるE7はキーCのコードではないですが違和感なく使うことができます。

次に、ディミニッシュコードもよく使われます。

コードとコードの間を半音でなめらかにつなぐような場面で出てくることがあります。
ベースラインが少しずつ上がったり下がったりするときに、経過音的に使われることもあります。

モーダルインターチェンジも、ポップスではよく見られます。

たとえば、メジャーキーの曲の中に、同じ主音を持つマイナーキー側のコードを一時的に借りる考え方です。
明るい曲の中に急に切なさが差し込むような響きが生まれます。

ノンダイアトニックコードはダイアトニックコード以上に深く説明するのは大変なので詳しい話をここでするのは難しく

また、これらの理論をマスターしようと思うと、それなりの時間がかかるでしょう。

ただし最初からこれらを自由に使いこなす必要はありません。

まずは、好きな曲の中で「ここだけ少し空気が変わる」と感じる場所を探してみてください。
そこに、ノンダイアトニックコードが使われているかもしれません。

響きに気づき、コード名を確認し、ディグリーで見てみる。
その繰り返しで、少しずつ自分の引き出しが増えていきます。

【もっと深く音楽の分析方を知りたい方へ】

コード理論を本で読んでも、自分の曲にどう使えばいいかわからない。
好きな曲のコード進行を分析したいけれど、ディグリーへの置き換えで止まってしまう。
自分の曲がいつも同じ雰囲気になる理由を知りたい。
平成感を残しながら、今っぽい響きも取り入れたい。

そう感じている方は、実際の曲を見ながら整理するのが近道です。

私のレッスン、特にプロを目的としたレッスンは、こういう分析に重きを置ていますので、実際の音を聴きながら整理していきます。興味ある方はぜひお問い合わせください。