生徒さんの中には、僕と年齢も近い方も多く、まあまあな大人になってからの趣味で作曲や編曲をはじめられる方も多くいらっしゃいます。ただ、昔ながらの曲を作るというよりも、どうせなら今風な曲を作りたい。
だけど、どうしてもでてくるフレーズだったりが、平成感を感じるメロディになってしまう。
というご相談をうけることがあります。
同じような悩みとして、みなさんにも
「コード進行は悪くないのに、メロディがパッとしない」
「鼻歌で作っていると、いつも似たようなフレーズになる」
DTMで曲を作っていると、こうした悩みにぶつかることがあると思います。
オケはある程度形になっている。
けれど、メロディを乗せると曲全体が弱く聞こえる。
メロディは、楽曲の顔になる大切なパートです。
リスナーの耳に残る部分だからこそ、「センス」や「ひらめき」だけに頼っていると、途中で行き詰まりやすくなります。
もちろん感覚は大切です。あなた自身のオリジナルが一番でるのは結局は感覚によるところが大きいからです。
ただ、その感覚を支えるためには、「なぜこのメロディは気持ちよく聞こえるのか」「なぜこのフレーズは落ち着かないのか」を考える視点も必要です。
この記事では、メロディをよりよくするため、または今までの手癖から脱却するためのの3つのアプローチを紹介します。
【アプローチ1:非和声音を知ると、メロディの動きが見えやすくなる】
メロディを見直すうえで、まず知っておきたいのが「非和声音」です。
非和声音とは、簡単に言うとその瞬間に鳴っているコードの構成音に含まれない音のことです。
たとえば、Cメジャーコードが鳴っているとき、構成音はC、E、Gですが、
その上でDやF、Aなどがメロディに出てくる場合、それらはコードトーンではない音として扱われます。
ただし、非和声音は悪い音ではありません。
コードトーンだけでメロディを作ると安定感は出ますが、動きの少ないフレーズになりやすいです。
一方で、コードから外れた音を何も考えずに使うと、音がぶつかって聞こえることがあります。
大切なのは、コードトーンと非和声音のバランスです。
たとえば、コードトーン同士をなめらかにつなぐ「経過音」。
コードトーンから隣の音に動き、また戻ってくる「刺繍音」。
前のコードの音が、次のコードに変わっても少し残る「繋留音」。
他にも非和声音はありますのでぜひ調べてみてください。
こうした使い方を知ると、「なんとなく良い」「なんとなく変」という感覚を、少しずつ言葉にできるようになります。
練習としては、好きな曲のメロディをコピーして、コードに対してどの音が使われているかを確認してみてください。
この音はコードトーンなのか。
コードから外れているなら、次にどこへ向かっているのか。
フレーズの始まりや終わりには、どんな音が置かれているのか。
1音ずつ見ていくと、耳に残るメロディの作られ方が少しずつ見えてきます。
【アプローチ2:フレーズの終わりは、着地点を意識する】
メロディを作っていて、「悪くはないけれど、なんだか落ち着かない」と感じることがあります。
その原因のひとつが、フレーズの着地点です。
メロディには、話し言葉の句読点のようなものがあります。
音がずっと動き続けているだけでは、聴き手はどこで一区切りなのかを感じにくくなります。
特に、Aメロの終わり、Bメロの終わり、サビの終わりでは、メロディがどこに着地しているかが大切です。
たとえば、キーがCメジャーなら、Cの音は安定した着地点になりやすい音です。
キーがAマイナーなら、Aの音が落ち着きのある着地点になりやすくなります。
こうした主音に着地すると、リスナーは「ここで一度まとまった」と感じやすくなります。
もちろん、すべてのフレーズを安定した音で終わらせる必要はありません。
次の展開へ引っ張りたいときは、あえて落ち着きすぎない音で止めることもあります。
大切なのは、自分で意図して選ぶことです。
ここは一度落ち着かせたいのか。
次のセクションへ引っ張りたいのか。
サビの最後でしっかり完結させたいのか。
この意識があるだけで、メロディの作り方は変わります。
初心者の方が作るメロディの中には、フレーズの終わりが毎回あいまいになっているものがあります。
まずは各セクションの最後の音を確認し、その音が曲のキーやコードに対してどんな役割を持っているのかを見てみましょう。
【アプローチ3:ブレスを設計すると、メロディに歌心が出る】
DTMでは、メロディをいくらでも詰め込めます。
特にボカロ曲やシンセリードでは、息継ぎを気にせず、細かい音を長く続けることもできます。
画面上では問題なく見えても、実際に聴くと少し息苦しく感じることがあります。
その原因のひとつが、ブレスの不足です。
ブレスとは、息継ぎのことです。
歌もののメロディであれば、人がどこで息を吸うのかを考える必要があります。
メロディを作るときは、「ここで歌い手が息を吸うならどこか」を考えてみてください。
1拍だけ空ける。
フレーズの終わりに余白を作る。
サビ前にあえて短い無音を作る。
言葉やフレーズの切れ目を意識する。
こうした小さな余白があるだけで、メロディは自然に聞こえやすくなります。
さらに、ブレスの隙間はオケを聴かせるスペースにもなります。
歌が休んでいる瞬間に、ギターのオブリガートを入れる。
シンセのフレーズを少し見せる。
ドラムのフィルインで次の展開へつなぐ。
メロディを良くするためには、音を増やすことだけでなく、どこで鳴らさないかも大切です。
【感覚を支える視点を持つ】
メロディ作りに、感覚は必要です。
最初のフレーズは、鼻歌やひらめきから生まれることもあります。
何気なく弾いた音が、曲の中心になることもあります。
ただ、その先で曲を仕上げるには、感覚だけでは判断しきれない場面が出てきます。
なぜこのメロディは落ち着かないのか。
なぜサビが耳に残らないのか。
どこに余白を作れば、もっと歌いやすくなるのか。
こうした問いを持てるようになると、メロディ作りは少しずつ変わります。
- 非和声音を確認する。
- フレーズの着地点を見る。
- ブレスの余白を設計する。
この3つを意識するだけでも、メロディの改善ポイントは見つけやすくなりますよ。
