DTMや作曲を独学で始めたものの、音楽理論の本を開いた瞬間に手が止まってしまった方は多いと思います。

度数。
長調、短調。
スケール。
ダイアトニックコード。
テンション。
転調。

言葉だけでも難しく見えますよね。

YouTubeやWebサイトで勉強しているときは「なるほど」と思えても、いざDAWを開くと、何から音を重ねればいいのかわからない。

こんな経験、DTM制作をしている方なら一度はあると思います。

そのうち、「やっぱり理論を全部わかっていないと曲は作れないのかもしれない」と感じてしまうこともあるかもしれません。

でも、個人的には、理論がわかっていても作れないときは作れません。笑

もちろん、理論は大切です。
ただ、曲を作る前に、すべてを理解しておかなければいけないわけではありません。

【すべてのジャンルに同じ理論が必要なわけではない】

音楽理論は、作曲を続けていくうえで大きな助けになります。

J-POPやアニソン、ボカロ曲のように、メロディやコード進行がはっきりしているジャンルでは、コードの知識がかなり役に立ちます。

どのコードの上に、どんなメロディを乗せるのか。
サビでどう盛り上げるのか。
切ない響きや明るい響きを、どう作るのか。

こうしたことを考えるとき、理論を知っていると判断しやすくなります。

ただ、すべてのジャンルで、最初から同じ量の理論が必要なわけではありません。

たとえば、ヒップホップ、ムーンバートン、レゲトン、ダンスホールなどのビート系の楽曲では、複雑なコード進行よりも、ドラムのノリ、ベースの重さ、音色のかっこよさが前に出ることがあります。

こうしたジャンルでは、最初から難しい和声を理解していなくても、サンプル素材やループを活用しながら曲の形を作ることができます。

作りたいジャンルによって、最初に学ぶべきことは変わります。

J-POPを作りたい人。
ボカロ曲を作りたい人。
ヒップホップやビート系を作りたい人。
EDMやダンス系を作りたい人。

それぞれ、入り口が少し違います。

だからこそ、最初から理論本を1ページ目から順番に全部覚えようとするより、自分の作りたい音楽に必要なところから触れていくほうが、曲作りは続けやすくなります。

【ビート系はサンプル素材から始めやすい】

ヒップホップやムーンバートンなど、ビート系の楽曲を作りたい場合は、サンプル素材を活用するところから始めるのがおすすめです。

ドラム、パーカッション、シェイカー、ボイス素材、シンセループなど、今はさまざまな素材をSpliceなどのサービスで手に入れることができます。

こうしたサービスを使えば、プロが作ったドラムループやパーカッションループをDAWに読み込むことができます。

ゼロからキック、スネア、ハイハットを全部打ち込む必要もはありません。

まずは、かっこいいと思えるドラムループを1つ選ぶ。
DAWに置く。
テンポを合わせる。
そこにベースや音ネタを重ねてみる。

それだけでも、曲の土台は作れます。

特にビート系のジャンルでは、最初にノリの良いリズムがあるだけで、制作がかなり進めやすくなります。

自分で全部作らなければいけないと思い込むと、最初の一歩が重くなります。

でも、プロの現場でもサンプル素材は使われます。

以前制作させていただきた、轟はじめさんの「Countach」でも、Spliceやサンプル素材を使用して

制作しました、ちなみに、midi部分、ベースやプラックやスタブなど音階のある楽器はSERUMで打ち込んでいます。

大切なのは、素材をそのまま貼ることではありません。
自分の曲に合うように選び、加工し、組み合わせることです。

同じループ素材でも、チョップして組み替えて、リズムを作り変えたり、ボイス素材を切って配置したり、フィルターやリバーブで質感を変えたりするだけで、自分の曲としての表情が出てきます。

【最低限、音名の英語表記とキーは覚えておく】

ビート系の音楽では、難しい音楽理論がそこまで必要ないこともあります。和音がでてこない曲も多いです。

それでも、知っておきたい基本的な知識はあります。それが、音名の英語表記と、曲のキーについてです。

ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シはイタリア語音名ですが、DTMやコード表記では、C、D、E、F、G、A、Bの英語表記が一般的に使われます。

対応は次の通りです。

ド=C
レ=D
ミ=E
ファ=F
ソ=G
ラ=A
シ=B

キーについては、ひとまずメジャーキーとマイナーキーの2種類があることを押さえておきましょう。

表記としては、CやCmのように書かれます。
CはCメジャー、CmはCマイナーです。

Spliceなどでも、ピアノやギター、シンセなど、音程のある素材にはキーが表示されていることがあります。

基本的には、これらのキーをそろえてサンプルオーディオを組み合わせる必要があります。

キーが合っていない素材を重ねると、テンポは合っているのに、どこか音が濁って聞こえることがあります。

逆に、キーをそろえるだけで、素材同士がかなり馴染みやすくなります。

このあたりは、DTMで素材を扱うための基本として知っておくと便利です。

【理論は、曲を作りながら覚えていけばいい】

ビート系の音楽のように、難しい理論をそこまで必要としない音楽は数多くあります。

ジャンルによって、入り口は変えていいと思います。

まずは、自分が聴いていてかっこいいと思える音を重ねてみてください。

音楽理論は、作る中で必要になったときに、その都度学んでいけば大丈夫です。そして1回で覚えられるものではないので

そもそも忘れてしまって大丈夫です。何度も理論に触れるたびに自然と身についていきます。

最初からすべてを理解してから始めようとすると、曲を作る前に疲れてしまいます。

作曲を続けるためには、難しいことを我慢して覚えるだけでなく、音を出して楽しいと思える時間を増やすことも大切です。

まずは、かっこいいと思えるループをひとつ置いてみる。
そこにベースを足してみる。
音が合わなければ、キーを確認してみる。

それくらいの小さな一歩からでも、曲作りは始められます。